補聴器を違和感なく使えるようになるには、一定のトレーニングが必要です。骨折などの怪我をした後には段階を踏んでリハビリを進めていくように、補聴器を使う際も”聞こえのリハビリ”をしていくことが重要になります。今回は、補聴器に慣れていくためのヒントをご紹介します。
補聴器の使い始めにおきやすいトラブル
補聴器を初めてつけたときは、聞こえ方の変化に慣れず、不快に感じることがあります。これらのトラブルは、補聴器を適切に調整し、適切なトレーニングをすることで解消できます。
音がうるさく感じる
感音難聴は何年も時間をかけてゆっくりと進行するため、脳は音が少なく、静かな状態に慣れてしまっています。そのため、補聴器をつけて音が急にクリアに聞こえるようになることで、かえってうるさく感じることがあります。
雑音が気になる
補聴器をつけると、最初のうちは雑音が増えたように感じるかもしれません。その多くは、冷蔵庫のモーター音やエアコンの稼働音などの生活音です。音の正体がわかり、毎日耳にしていると自然と気にならなくなりますが、慣れないうちは耳障りに感じるかもしれません。
言葉を聞き取りにくい
脳の言葉を聞き取る能力が低下していると、補聴器をつけても思うように聞き取りはできません。補聴器の新しい聞こえで会話ができるように訓練する必要があります。
補聴器に慣れるための6ステップ
補聴器はメガネとは違い、つければすぐに聞こえが改善する道具ではありません。時間をかけて補聴器の新しい聞こえに脳を慣らしていく訓練が大切です。補聴器に慣れるためのコツを紹介します。
1.静かな場所で音を確かめる
まずは補聴器から聞こえてくる新たな音に慣れる必要があります。まずは家の中など静かな場所で、聞こえてくる音を一つひとつ確かめてみましょう。これまでとは聞こえ方が異なる音があるかもしれませんが、何の音かがわかっていると次第に気にならなくなります。
2.向かい合って会話する
補聴器の聞こえに慣れてきたら、次は一対一での会話に挑戦してみましょう。最初は静かな部屋で向き合って座るといいでしょう。対面して座ると聞き取りやすいだけでなく、お互いの表情も読み取りやすくなります。最初のうちは思っていたよりも相手の声が大きく、騒がしく聞こえるかもしれません。しかし慣れてくると、それが相手の声だと認識し、以前よりもクリアに感じられるようになります。
3.ラジオやテレビを聞いてみる
テレビやラジオも、言葉の良い聞き取り練習になります。始めのうちは静かな部屋でニュース番組を視聴するのがおすすめです。大まかな文脈が理解できるようになれば、他の番組も試してみましょう。
4.複数人でレストランに行く
複数人で会話をするときは、話している人に注意を集中するのがポイントです。特にレストランなどにぎやかな場所での会話は、周囲の雑音が大きいため聞き取りが難しくなります。できるだけ混雑する時間を避け、顔の見えやすい円卓を選ぶなど工夫をすると、会話しやすくなります。
5.電話で話す
補聴器に受話器を近づけすぎるとハウリングが起こるため、受話器の向きを変えるなどの調整が必要です。また耳かけ型補聴器の場合は、耳に受話器を当てるのではなく、補聴器のマイクに受話器をあてて声を聞き取ります。Bluetooth機能がある補聴器と対応するスマートフォンがあれば、補聴器とスマートフォンを直接つなげられるので、受話器を耳にあてなくても会話ができます。
6.必要な時だけでなく、1日中付ける
補聴器の違和感をなくす一番の近道は、1日中補聴器を使うことです。人と話したりテレビを見たりと、必要な時にだけ使うのではなく、眠っている間以外はいつも補聴器を付けるように心がけましょう。もちろん、無理をすることはありません。疲れたと感じたときは、補聴器を外して少し休んでください。慣れていくにつれ、1日通して補聴器を付けていても疲れずに快適に過ごせるようになります。
まとめ
補聴器に慣れるまでには時間がかかることを理解した上で、無理なく毎日トレーニングを続けることが肝心です。また、補聴器のトレーニングはたった一人で行うわけではありません。聞こえや補聴器の専門知識を持ったスタッフがいる補聴器販売店であれば、補聴器の聞こえに慣れるように、しっかりとサポートをしてくれます。例えば、補聴器を使って生活していく中で、うるさいと感じる音や聞き取りにくい音があれば相談に乗り、適切な聞こえになるよう出力を微調整してくれます。専門家の力を借り、時間をかけて補聴器が聞こえのパートナーとして育てていきましょう。
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記事投稿者
ヘルシーヒアリング編集局
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