補聴器の電池では、主に空気中の酸素を使って発電する空気電池が使用されています。
ここでは、補聴器の電池サイズ、電池寿命、保管方法、購入方法など知っておくと役立つ情報についてご説明いたします。
補聴器を購入いただいた際には、補聴器本体に加えて製品を適切に使用いただき、また最良の状態で補聴器を動作させるための付属品も合わせて同梱されます。
補聴器の持ち運びにご利用いただける携帯用ケースや、製品を清潔に保つためのお手入れ道具などが代表的なものですが、補聴器用の電池もまた製品のご使用には欠かせない付属品です。
また空気電池は補聴器の使用に際して、継続的に購入いただくものです。
市場において充電式の補聴器も増えてきています。
充電式補聴器を購入いただく際は、指定の充電池をお使いいただきます。
補聴器メーカーによっては、空気電池と充電池の両方が使用できるハイブリッド式の充電式補聴器もあります。
補聴器用電池の種類
充電式補聴器も徐々に増えてきていますが、もっとも一般的なタイプは依然として使い捨ての空気亜鉛ボタン電池(空気電池)を使用する補聴器です。
従来の補聴器用電池は、導電を助けるなどの理由から微量の水銀を使用して製造されていましたが、技術の進歩や環境への配慮などから現在の補聴器用電池にはすでに水銀は使用されていません。
空気亜鉛電池は空気に触れると電力を発生します。
したがって空気亜鉛電池では、出荷時には、電池一つ一つにシールが貼られています。
このシールがはがされるまでは、電池は未使用の状態に保たれます。
電池からシールを剥がすと、酸素が電池内の亜鉛と相互作用して「電池が使用されている状態」になります。
空気亜鉛電池の性能を最大限に引き出すためには、シールをはがしてから補聴器にセットするまでまず約1分間お待ちいただいて電池を十分に作動させてから電池室に電池をセットします。
一度シールをはがしていただくと再度貼っていただいても電池の働きは停止しません。
シールを一度取り外すと、空気電池は電力がなくなるまで放電され続けます。
空気亜鉛電池は室温の乾燥した環境で保管した場合、最大3年間安定した状態を保つことができます(メーカーによって差があります)。
空気亜鉛電池を冷蔵庫に保管していただくことにはメリットはありません。
庫内の環境によっては電池に貼られたシールと補聴器本体との間に結露が発生し、これにより電池の寿命が短かくなってしまう場合があります。
電池のサイズについて
補聴器には、さまざまなサイズやスタイルがありますが、製品ごとに消費電力も異なります。
一般に補聴器のサイズが大きければ大きいほど、必要な電池も大きなサイズのものとなります。
また、高度・重度難聴の補聴器ユーザーのためのパワータイプの補聴器は通常、より多くのパワーを必要とするためサイズの大きな電池を必要とします。
市販されている補聴器の電池は大きく4つの種類があります。
最小サイズの電池から最大の順に、10、312、13、および675となります。
補聴器用電池のサイズはそれぞれ指先に乗るほど小さいものです:
- サイズ10 - 幅5.8 mm×高さ3.6 mm
- サイズ312 - 幅7.9 mm×高さ3.6 mm
- サイズ13 - 幅7.9 mm×高さ5.4 mm
- サイズ675 - 幅11.6 mm、高さ5.4 mm
電池のサイズの違いは気づきにくく、また覚えにくいため、正しいサイズの電池を迷わずお買い求めいただけるように、補聴器のメーカーの違いを問わず電池のパッケージは共通してサイズごとに色分けがされています。
- サイズ10の電池 - 黄色ラベル
- サイズ312の電池 - 茶色ラベル
- サイズ13の電池 - オレンジ色ラベル
- サイズ675の電池 - 青色ラベル
電池寿命について
補聴器用の空気電池は、1日16時間の使用で5~14日間ほどもちます。
これは、電池のサイズとそれぞれの補聴器の消費電力量によって変化します。
一般的に、電池のサイズと寿命は関連がありより小さい電池は、より大きな電池に比較して電池寿命が短いといえます。
ごく一般的な例ではありますが、補聴器の平均的な寿命は次のとおりです。
- サイズ10 - 3〜7日間
- サイズ312 - 3〜10日間
- サイズ13 - 6〜14日間
- サイズ675 - 9〜20日間
お使いの補聴器やお使いいただいている機能、外部機器との接続等によっても電池寿命はかわってきますが、新しい電池をセットした場合にも極端に電池の寿命が短くなっていると感じられる場合は、補聴器本体に問題がある可能性もあります。
この場合は、取扱説明書を参照いただくか、お買い求めの補聴器販売へご連絡をいただき、補聴器のすべての機能が適切に機能していることを確認いただく必要がある場合もあります。
補聴器用電池の寿命を延ばす方法
電池寿命を延ばすための確実な方法といったものはありませんが、電力を無駄にしないためのちょっとしたコツを以下にご紹介します。
補聴器を使用されない場合は、補聴器の電池ぶたをしっかりと開けて電源をオフにしてください。
(多くの補聴器は電池ブタが補聴器本体のスイッチの役目を果たしています)
また、一日の終わりに補聴器を外したら、電池ぶたは一晩開けたままにしておきます。
これは電池の電力を無駄にしないようにするだけでなく、1日ご使用いただくことによって補聴器内にたまった湿気を乾かすことができます。
電池の性能を十分に発揮させるためにも、補聴器用の電池は常に室温で保管してください。
車のダッシュボードに放置するなど熱にさらしたりすることは避けてください。
浴室などの湿った環境に置いたままにしておくことも、電池の寿命が短くなる原因につながります。
また、電池は、補聴器の電池をショートさせる可能性のある硬貨や鍵など金属製の物と接触する可能性のあるポケットやカバン、リュックなどにそのまま入れて運ばないようにしてください。
その他、補聴器用電池に関する有益な情報が、日本電池工業会のホームページに掲載されていますのでご参照ください。
補聴器電池のメーカーについて
補聴器用電池の一般的なメーカーには、ドイツのVarta(ファルタ)社や米国のEnergizerをはじめとする国外の電池メーカーがあり、また国内の主要な電池メーカー各社も空気亜鉛電池を販売しています。
ただし、多くの補聴器メーカーは、補聴器販売店向けに補聴器用の電池を提供しております。
補聴器メーカーの推奨する補聴器電池をお使いいただくこともご検討ください。
補聴器電池の購入場所について
電池は一般的に、補聴器専門店や補聴器の取り扱いのある眼鏡店、また家電販売店、薬局やコンビニやスーパーなどでも取り扱われています。
また、オンラインを通じて購入いただくことも可能です。
補聴器販売店で電池をお買い求めいただく利点として、あなたが使用する特定の機器に必要な電池サイズを忘れてしまった場合でも、補聴器販売店のスタッフは確実に正しい電池サイズの電池を確認してから販売しますので安心です。
さらに、補聴器販売店では定期的に電池をお買い求めいただくお客様に対して購入割引サービスや定期的にご自宅に電池を郵送してくれる定期購入特典などを設定している場合もあります。
どうぞ、補聴器をお買い求めの際は電池についてもお尋ねください。
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記事投稿者
ヘルシーヒアリング編集局
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