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聴力検査について

  • 更新日:2022.04.01
  • 公開日:2021.04.01
難聴 予防 兆候
聴力検査について(1)

聞こえについて現在何か気になることはありますか?
現在の聞こえの力を測る「聴力検査」は、耳鼻科で行います。聴力検査は簡単で痛みを感じることもありません。
また、定期的に聴力検査をうけていただくことは、健康な聞こえを保つことにも役立ちます。


ご自身で難聴があるかもしれないと感じている、または聴力の低下が心配だといったことがありますか?
ところで実際の聴力や聞こえの問題はどのようにして確かめられるでしょうか。
難聴は誰でもかかる可能性がありますが、多くは非常にゆっくりと進行することから、具体的な症状が現れるまで、聞こえの低下に気づきにくいことがあります。

難聴は健康に大きな影響を及ぼすもののひとつです。
聴力検査を行えるのは、耳鼻科医などの専門機関になりますが、一度しっかりと聴力検査を受けていただくことで現在の「耳の状態」や「聞こえ」についてご自身で把握できます。
その後年に一度定期的な聴力検査を習慣としていたくことで、この先聴力に変化が見られた場合でも早期にその変化を発見することができます。

聴力検査は簡単で痛みを感じることはありません。
聴力検査は簡単で痛みを感じることはありません。

聴力検査の目的は、難聴があるかどうかだけでなく、難聴が認められる場合は、難聴の程度が軽度なのかまたは重度かを判断することにあります。
また、さらに精密な聴力検査を行うことによって、あなたが抱えている難聴の種類(すなわち伝音性、感音性または混合性なのか)を明確にし、最も適切な対応が医学的処置であるのか、あるいは補聴器の装用であるのかなどを決定することにも役立ちます。

耳の健康や病歴に関する問診からスタート

耳鼻科医など聴覚ケアの専門家による診察における最初の第一歩は、医師は対話を通じて、皆さんの現在の耳の健康状態と病歴の両方を知り、どのような懸念事項があるのかを見出すことです。
難聴には多くの潜在的な原因があるため、病歴についての情報を洗い出すことは、あなたが遺伝性疾患もしくは難聴の原因となる遺伝子を有しているかどうかを判断するのに役立ちます。

一般的なアレルギー、鼻風邪、耳の感染症、さらには耳垢が詰まることによる耳穴の閉塞なども、難聴の原因となります。
また、聴覚ケアの専門家は、最近、頭部や耳に何かけがをしたことがあるかについても質問するかもしれません。
頭部(頭蓋)の損傷はどのようなものであっても、一時的または永久的な難聴を引き起こすことがあります。

医師はまた、あなたが大きな騒音に晒されているか、あるいは大きな騒音のある環境で働いているかなどの質問をすることがあります。
騒音に起因する難聴は、さまざまな音があふれる現在の日常では非常に起こりやすい難聴のひとつです。

聴力検査のステップ

聴力検査

聴力検査は、痛みを感じることもなく、耳に何か器具を入れるといったこともありません。
ほとんどの場合、検査は、防音処理がされた静かな部屋(聴力検査室)などで行われます。
これは、暖房やエアコン、または室内の環境騒音など聴力検査の結果に影響を及ぼす可能性のある騒音を防ぐためです。
検査には、オージオメーターと呼ばれる医用機器を使用します。
皆さんは、「検査のためにヘッドホンを装着してください」と指示されるかもしれません。
オージオメーターには、ヘッドホンややわらかいイヤープラグ(耳栓)を接続した状態で検査を実施します。

聴力検査室によっては、乳幼児や小さなお子さんの検査時に、または補聴器や人工内耳を装用した状態で聴力検査を行う際に必要な特別なスピーカーを備えている場合もあります。

検査室に入ると、検査を実施する医師や専門家は、皆さんが装着したヘッドホンを介して会話を伝えたり、また検査方法などについて指示したりします。
検査では、あなたはさまざまな音程(周波数)や音量で検査音を聴き、それが聞こえたときにはボタンを押すか、手を上げるように指示されます。
検査中は、どうぞ集中してヘッドホンから聞こえる検査音を注意深く聞いてください。
その理由として、検査音が非常に小さい場合や、ぎりぎり聞こえるか聞こえないかといった場合にもそれぞれ応答いただく必要があるからです。

純音聴力検査と呼ばれるこの検査では、「検査を行う各周波数(それぞれの音程)で聞くことができる最も小さい音(最小可聴閾値)」について測定を行います。
純音とは、機械的に作った特定の音程(周波数)だけを含む音を指しています。

純音聴力検査に加えてもう一つ行われる検査がことばの聞き取りを検査する語音明瞭度検査です。
この検査では、「ア」、「キ」、「シ」などといった単音節の音声をヘッドホンで聞いて、聞こえた音声をそのまま繰り返していただくか、所定の用紙に書き取っていただき、その正答率を求めます。
音声の音量を変え、どの音量で聞き取りが最大になるかについて検査します。
この検査で「ことばがどの程度まで正確に聞き取れているか」を検査します。

必要に応じて、医師は追加的にティンパノメトリーや耳小骨筋反射検査と呼ばれる検査を行うことがあります。
これらの検査では、あなたの鼓膜がどの程度うまく動いているかを判断したり、中耳筋(音の伝達に欠かせない中耳の中の耳小骨を制御している筋)の反応について測定を行うこともあります。

聴力検査の意義

子どものための聴力検査

新生児の聴覚スクリーニング

新生児の聴覚スクリーニングは、生まれたばかりの赤ちゃんに難聴があるかどうかを確認するための検査です。
分娩した病院で入院中に検査を受けることが推奨されています。
新生児の聴覚スクリーニングには2種類あり、どちらも痛みはなく、赤ちゃんが眠っている間に行うことができます:

  • 耳音響放射(OAE):この検査では、新生児の耳に装着される小型でやわらかいプラグを通して提示される検査音に内耳が反応しているかを調べます。
    左右の耳それぞれ別々に検査が行われます。
    反応がおもわしくないときには精密な検査が勧められます。
     
  • 自動聴性脳幹反応(AABR):この検査では、新生児にヘッドホンなどを装着し、検査音に応答する聴神経の活動を記録します。
    この検査は、聴覚系のより細かな検査であり左右の耳それぞれに対して行われます。
    反応があることは脳が音刺激を受け取っていることを示しますが、言葉の聞き取りに必要なすべての周波数が測定できるものではありません。
    また、出生直後に外耳道に残っている羊水などの影響で、最初の聴覚スクリーニングで難聴の可能性があるという結果がでることも少なくありません。
    最初の聴覚スクリーニングで難聴の可能性があったときは、再確認のためのスクリーニングを2週間以内に設定します。
    大多数は、2回目のスクリーニングを問題なくパスします。
    2回目の新生児スクリーニングでも難聴の可能性が認められた場合は、専門医による、より精密な聴力検査を受ける必要があります。
乳幼児のための聴力検査

視覚強化式聴力検査(VRA)と呼ばれる検査を使用して、防音された検査室で6ヵ月齢からの乳幼児に向けて検査を行うことができます。
VRAは、乳幼児の音に対する反射的な頭部の動きを利用します。
この検査では、親がお子さんを膝の上に乗せて、サウンドブース(検査室)の中央の椅子に座ります。
聴覚ケアの専門家は、乳幼児の左右に向けられたスピーカーを通して音を出したり、話したりします。

赤ちゃんと幼児の聴覚を評価するために特別に設計された検査があります。
赤ちゃんと幼児の聴覚を評価するために特別に設計された検査があります。

子どもが音を聞き、その方向を見ると、点滅する光や踊るクマのような視覚的に魅力的な玩具による「ごほうび」が与えられます。
このごほうびによって、少なくとも聞こえが良い側の耳について専門家が聴力の良好な指標を得るのに必要な時間、子どもの注意を引くことができます。

幼児になると、視覚的なご褒美で子どもの注意を引きつけることは困難になります。
2歳頃では、お子さんをほめることがこのような行動を観察する検査には効果的です。
専門家は、幼児および就学前の小児のために、遊戯聴力検査と呼ばれる検査方法を使用します。
遊戯聴力検査は、幼児のためのゲームとして作られた聴力検査です。
親または検査支援スタッフは、聴力測定ブースの床に子どもと一緒に座り、音が聞こえたらブロックをバケツに置くなど特定の作業を行うように子どもを訓練します。

子どもが正しく音に反応できたら、一緒に座っている親または支援スタッフは子どもを思い切り褒めます。
上記の視覚的強化のように、ほめることによって、少なくともより聞こえが良い側の耳で専門家が聴力の良好な指標を得るのに十分な時間、子どもの注意を引くことができます。
幼児がイヤホンを着用する場合は、片耳ごとの聴力を検査することができます。

子どもが就学年齢になると、検査室で静かにじっと座っていることができ、スピーチや音の刺激に応じて手を挙げることができます。
この時点で、子どもは、片耳ごとの測定のためにヘッドフォンを容易に着用することができ、上述したティンパノメトリーおよび耳小骨筋反射検査の際も静かにじっと座っていることができます。

聴力検査の結果を理解する

検査結果はオージオグラムと呼ばれるグラフに記されます。縦軸は、音の強さまたは音量(dBHL)を表します。
横軸は、音の高さ(Hz)を表しています。

低い音から高い音まで検査中に聞くさまざまな高さの音ひとつひとつにおいて、被験者(皆さん)が聞くことができた最も小さい音をグラフ上にマークで記し、それを線で結んだものがオージオグラムです。

左右の耳の検査結果については、それぞれ2本の異なる線で記入されます。
検査結果が左右の耳で良く似ている、または同じようなパターンを描いているといった場合もあれば、あるいは左右の耳でまったく異なる場合などがあります。

オージオグラム

難聴の程度は、デシベル(dB)単位で、次のカテゴリに分類されます:

  • 健聴(0~25 dB HL)
  • 軽度の難聴(26~40 dB HL)
  • 中等度の難聴(41~70 dB HL)
  • 高度の難聴(71~90 dB HL)
  • 重度の難聴(91 dB HL以上)
  • 記事投稿者

    ヘルシーヒアリング編集局

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