テクノロジーに興味がある、なるべく目立たない方がいい…難聴があることが分かり、耳鼻科医をはじめとする聴覚ケアの専門家から補聴器の使用が聞こえの改善につながるとの助言を受けました。どのような種類の補聴器があなたの耳にフィットするのでしょうか。その答えを導きだすには、ご自身のライフスタイルや健康状態なども影響します、同時に難聴の度合いによってもお勧めできる補聴器のスタイルが代わってきます。補聴器専門店などへ補聴器についてお問合せいただくにあたりここでご紹介する項目をどうぞ参考にしてください
「最新のテクノロジー」「スマートフォンアプリ」「IoT」このようなキーワードにピン!ときますか?→Bluetooth対応がおすすめ
この10年間の間に補聴器は大きく変貌しています。今日の機器は私たちの両親や祖父母の時代に目にしていた製品とは全く異なる進化を遂げています。これを支えているのがテクノロジーの進化です。医用機器である補聴器は、ご使用いただく際にユーザーの聞こえの力に合わせて、補聴器の専門家が調整を行いますが、先進の補聴器の登場を待つまでは補聴器の調整は小さなドライバーを使用して物理的な調整を行っていました。
今日の補聴器は、小さなコンピューターともいえるデジタル補聴器が主流です。聞こえの調整はコンピューターのプログラムを介して行います。音量調節つまみやボタンをあれこれとドライバーで調整する時代は過去のものとなりました。
また現在の補聴器は、ユーザーの聴取環境の変化に応じて自動的に補聴器の聞こえが最適化されます。 また会議の場や音楽を聴くなどニーズに合わせて、スマートフォンのアプリを使用して目立たつことなく、好みに合わせてユーザーが自身で音量や聞こえ方をコントロールすることもできます。
ブルートゥース(Bluetooth)とよばれる通信技術により、補聴器をご自身がお持ちのスマートフォンにワイヤレス接続することで電話通話はもちろん、テレビまたはカーオーディオの音源を補聴器に届けるなどといったことも可能となります。
先進テクノロジーの世界に強い関心をお持ちですか?同意してくださった方、先進技術を取り入れ、スマートフォンとの連携やまたインターネットにつながる補聴器といった選択肢があります。「ITや先進技術は難しそうだし、実は関心はありませんという」皆様も安心してください。補聴器に組み込まれている先進技術はひっそりとしかし確実により良い聞こえをサポートしています。
賑やかな場所へよく行きますか?職場や日常の環境に騒音はありますか?→ノイズリダクションを検討
にぎやかな環境にも積極的に向き合いましょう。そもそも私たちの日常は騒々しいものです! 長らく補聴器は賑やかな環境で使用することは難しいとされてきました。補聴器は、皆様が日常をどのような環境で過ごし、頻繁ににぎやかな場面に身を置いているかなどユーザーの日常環境に合わせてどれだけ騒音があるのか・・・・補聴器が聞こえをサポートしています。補聴器の代表的な機能である「指向性技術」は騒音下での聞こえをサポートします。多くの補聴器にはデュアルマイク、すなわち二つのマイクが搭載されています、デュアルマイクを使って活発な会議、混雑したレストランやバー、もしくはおしゃべりをする子供たちと一緒に過ごす居間など、聞き取りにくい環境において、あなたの目の前の音に直接焦点を当て、左右および背後の音はできるだけ抑えることによって、会話を理解するのに役立ちます。
今日、ほぼすべての補聴器には、何らかのタイプのノイズリダクション(騒音抑制機能)が組み込まれています。この技術は、騒がしい状況でも聞こえの快適性を高めるために機能しています。
またうるさい環境で会話を理解するのに、最も役立つのは指向性マイク機能とされてきましたが、この「指向性」もさらに進化を遂げ指向性に変わる新たなテクロジーにより、にぎやかな環境であっても左右、や背後を含む360度からの聞こえを実現する補聴器も登場しています。ご自身のライフスタイルを率直にお伝えいただき、必要な機能について補聴器の専門スタッフとお話しください。
ご自身の難聴を気にされていますか?
まずきちんとお伝えしたいことがあります。すぐそばに近づかなければ装用に気づかない補聴器も、または耳穴の中にぴったりとおさまって全く周囲の人が気づかない補聴器も、補聴器をお使いいただくことは何ら悪いことではないということです。補聴器は聞こえを助けるだけでなく、緊急時においては警報音、サイレン、緊急放送などを知らせる役割を果たします。難聴と転倒リスクについての報告もされています。また、聞こえの改善を通じて、聞こえづらさが引き起こす落ち込みや周囲からの疎外感などの問題解決へ寄与する、またコミュニケ―ションを活発にすることによって認知機能低下のリスクを低減するといった研究も報告されています。それでもやはり補聴器に対しためらいを感じる、また難聴について他の人に知られたくないと考える方もいらっしゃいます。
そのような皆さまにとっては、RITE(ライト)またはRIC(リック)タイプと呼ばれる補聴器がお勧めできます。この補聴器ではスピーカー/イヤフォンといった音の出口の部分を分けることで、補聴器本体をより小さくすることができます。
また、さらに目立たない、または見えない補聴器をお探しの場合は、耳穴に挿入してお使いいただく耳あな型補聴器もあります。耳あな型タイプの中でも最小サイズともされるIIC補聴器やほとんどの耳の形にフィットするCIC補聴器などを選択いただくことも可能です。
これら大変小さなサイズの補聴器は目立たない代わりに、いくつかの課題もあります。補聴器の専門スタッフは、皆様の耳の状態や難聴の度合い、そしてお客様のニーズや嗜好などについてお話を伺った上で、どのスタイルが最適かを決定していく手助けをします。
非常に小さな種類の補聴器について考慮すべきこと
- 補聴器のサイズが小さいほど、電池の交換頻度は上がります。補聴器では主に空気電池と呼ばれるボタン型の電池を使用しますが、ある調査によれば、一般に耳にかけて使用するタイプの補聴器では110~135時間駆動しますが、より小さいサイズの補聴器では駆動時間が61~98時間との報告があります(2016年HearingTracker.com)
- 搭載機能が限定されます、製品サイズが小さくなるほど例えば補聴器のマイクを2つ搭載することは難しくなります。日常で補聴器に求めるニーズについて考える必要があります。例えば騒音がある場所で長時間を過ごされるのかなど、ニーズとそれに必要な補聴器のスタイルについて十分にお話をいただく必要があるかもしれません。レストランなど騒音のある場所によく行く、また公共交通機関で通勤しているなどの際は、耳あな型よりRITEを含む耳かけ型補聴器の方がよりフィットするかもしれません。
- 補聴器本体が小さくなるほど、補聴器本体の音量調整のためのボタンなどが操作しにくい可能性もあります。また補聴器の電池交換についてあらかじめ試していただいたり、装用練習をしていただくなかで、ご自身や(またはご家族など周囲の方も含む)によって交換が可能かどうか確認いただくことが必要です。
手先は器用なほうですか?
糖尿病、パーキンソン病、またその他の健康状態によっては、指のしびれや指先でモノをつかんだりする能力の低下を引き起こすことがあります。現在の補聴器のほとんどは空気電池と呼ばれるボタン電池タイプの電池を使用しています。補聴器が小さければ小さいほどこの電池蓋の大きさや音量調整のためのボタンなどが小さいものになります。お店で実際にこれらのサイズや電池交換などを試していただき、もし難しさを感じるということであれば、BTEまたは耳かけ型、または耳あな型補聴器タイプでもよりサイズを大きめにしたスタイルを選択いただくことで、手先の問題は解消できる可能性が高くなります。電池交換や操作などでストレスを感じることで、ご使用いただくよりもケースにいれたまま使わない時間が長くなることが無いように、どうぞ楽にご使用いただけるサイズやスタイルの補聴器をお選びこともお勧めします。
まとめ ~聞こえのサポートに最適な補聴器は一人ひとりで異なります~
人は一人ひとり異なり全く同じ人は存在しません、それと同様にたとえ「聴力データは同じでも、聞こえの状態が同じという難聴は存在しない」ことを理解いただくことは重要なことです。個々で異なる補聴器へのニーズに対して、それぞれに適合する補聴器があります。最適な補聴器とは、ご自身に役に立つ補聴器です。ピッタリな補聴器を見つけられないかもしれないとの心配から、補聴器の相談や補聴器選びの決心を先延ばしにするのではなく、必要なアドバイスができる補聴器の専門スタッフを見つけてください。専門家スタッフとそして皆さま自身がチームになることで、皆様の聞こえの状態に合う機器を選択いただくことができます。補聴器専門店選びについて、こちらからご相談いただくことも可能です。
■本記事について
本記事は米国Healthy Hearingにて掲載された記事を、一般的な情報提供を目的として意訳、また日本国内の事情に沿うように加筆再編成したものです。本記事のコピーライトはhealthyhearing.comに帰属します。本記事内に掲載された名称は、それぞれ各社の商標または登録商標です。また、出典や参照元の情報に関する著作権は、healthy hearingが指定する執筆者または提供者に帰属します。
■英語版記事はこちらから
米国「Healthy Hearing」2018年3月8日の記事「Which hearing aids are best for me? 」(DebbyChan寄稿)
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記事投稿者
ヘルシーヒアリング編集局
1. ポータルサイト「ヘルシーヒアリング(healthyhearing.jp)」の運営
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記事監修者
若山 貴久子 先生
1914年から100年以上の実績「若山医院 眼科耳鼻咽喉科」院長。■詳しいプロフィールを見る■