希望する価格帯で同じような機能や形状の製品で迷ったとき、自分のよく知るメーカー名やブランド名は購入に際しての安心材料になります。とくに、製品に関する知識がなく右も左もわからない場合は「大手のメーカーやブランドの製品を選んでおけば安心」という方も多いでしょう。 一方で、補聴器に関しては製品の多くが海外製で、あまり聞きなれないブランド名に戸惑うことが少なくありません。そのため、店舗に出向いてもよく知らないブランドの名前に「この製品で本当に大丈夫か?」と不安になる方もいらっしゃるようです。 そこで今回は、国内で販売されている補聴器の海外・日本の主要ブランドをご紹介していきます。補聴器の購入が初めての方は、これからご紹介する10のブランド名を覚えておけば安心して製品が選べるでしょう。ぜひ、参考にしてください。
日本で販売されている補聴器の主要ブランド
ブランド名 | 製造元 | 国内の販売元 |
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オーティコン | デンマーク | デマント・ジャパン株式会社 |
フィリップス | デンマーク | デマント・ジャパン株式会社 |
バーナフォン | デンマーク | デマント・ジャパン株式会社 |
フォナック | スイス | ソノヴァ・ジャパン株式会社 |
リサウンド | デンマーク | GNヒアリングジャパン株式会社 |
シグニア | シンガポール | シバントス株式会社 |
ワイデックス | デンマーク | ワイデックス株式会社 |
スターキー | アメリカ | スターキージャパン株式会社 |
リオネット | 日本 | リオン株式会社 |
パナソニック | 日本 | パナソニック補聴器株式会社 |
上の表は、日本国内の補聴器専門店で販売されている補聴器の主要ブランドと国内で窓口となっている販売元です。補聴器が初めての場合、まずは上記の「ブランド名」を覚えておくと製品選びで迷ったときの手助けになります。
この表を見てもわかるように、補聴器の主要ブランドの多くはヨーロッパの製品です。現在の補聴器の原点となる電気式補聴器が20世紀初頭のデンマークで誕生して以降、ヨーロッパは補聴器先進国として発展していきました。今も世界に流通している補聴器の9割近くが、ヨーロッパ発祥のブランドから販売されています。
とはいえ、補聴器を初めて使う方には聞きなれないブランド名ばかりで、名前を聞いただけではどこの・どんな製品なのかがよくわかりません。そこで、次項からは海外・日本の補聴器主要ブランドごとの特徴をご紹介していきます。
日本で販売されている補聴器の海外主要ブランド
オーティコン/デマント・ジャパン株式会社
オーティコンは1904年の創業以来、110年以上の歴史を持つデンマークの老舗補聴器ブランドです。世界130か国以上で事業を展開しています。
オーティコン製品の特徴は、聴覚科学の研究に基づいたブレインヒアリングテクノロジー(音を脳で聞く技術)です。音や耳だけに注目するのではなく、音を理解する脳の働きを第一優先に考え、「脳が聞く力」をサポートする独自の技術を開発しています。この技術はオーティコンのすべての補聴器に搭載されています。
フィリップス/デマント・ジャパン株式会社
世界的なヘルスケアブランドであるフィリップスの補聴器は、デンマークの補聴器大手デマントが手がける人工知能(AI)を搭載した補聴器です。
大切な人との「つながり」を維持することをコンセプトに開発されたフィリップス ヒアリンク補聴器は、騒がしい環境下でもよりクリアで快適な聞こえを実現します。また、Bluetooth搭載によりスマートフォンやタブレットと接続することで聞こえの世界をさらに広げます。
バーナフォン/デマント・ジャパン株式会社
バーナフォンは1946年にスイスで発祥した老舗補聴器ブランドです。現在はデマントグループの一員として本社をデンマークへ移し、日本を含めた世界70か国以上のマーケットに販売網を広げています。
バーナフォン製品は技術力の高さにくわえ、お求めやすい価格と親しみやすいデザインが特徴です。デマント社が手がけるオーティコンやフィリップスとともに、より幅広い補聴器の普及を目指してブランド展開しています。
フォナック/ソノヴァ・ジャパン株式会社
フォナックはスイス発祥の老舗補聴器ブランドです。1947年の創業以降、世界100か国以上で事業を展開しています。
フォナック製品の特徴の1つは、「オートセンスOS」という独自のオペレーティングシステムです。このシステムは雑音の多い街中やコンサートホール、自宅など、今いる場所の音環境をリアルタイムで分析し、どんな環境でも聞きやすい音に自動的に設定してくれます。さらに、ワイヤレスマイクで拾った音声を、聞き手の受信機に送信する「ワイヤレス補助援助システム」にも力をいれています。
リサウンド/GNヒアリングジャパン
リサウンドはデンマークのGNヒアリング社が開発・販売を手がける補聴器ブランドです。19世紀に大陸間をケーブルでつなぐ通信技術からはじまった同社は、21世紀に至る近年まで音声や会話を届ける音響関連分野を強みとしています。
リサウンドが注力するのは、「オーガニックヒアリング」という自然な聞こえに近づける技術です。この技術を取り入れた製品は、補聴器をつけているのを忘れるほど自然な聞き心地や違和感のない着け心地を実現しています。
シグニア/シバントス株式会社
シグニアはドイツにゆかりのある老舗補聴器ブランドです。現在は拠点をシンガポールに移して事業を展開しています。
シグニア製品の特徴は、言葉と環境音を別々に処理する2つの専用プロセッサー(音声処理装置)を搭載している点です。補聴器が聞いた音を言葉と環境音に分け、独立したプロセッサーが言葉をより鮮明に、環境音をよりすっきりとした音に処理していきます。
ワイデックス/ワイデックス株式会社
ワイデックスは創業60年以上のデンマークの補聴器ブランドです。「よい補聴器をつくるためには、一切の妥協をしない」という創業者の志を受け継ぎ、新しい発想と独創的な技術開発による革新的な製品を世に送り出しています。
ワイデックス製品の特徴は、徹底した音質へのこだわりです。「モストナチュラルサウンド(最も自然な音)」を哲学に、日常のかすかな音から大きな音まで、自然にあふれるすべての音をありのまま再現することを追求しています。
スターキー/スターキージャパン株式会社
スターキーは1967年にアメリカで創業した補聴器ブランドです。ミネソタ州に本社を置き、全世界に20か所以上の製造拠点と800か所以上の流通・販売拠点を持っています。
スターキーが得意とするのは、オーダーメイド補聴器です。世界で初めて充電式オーダーメイド耳あな型補聴器を誕生させて以降、小さくて目立たないオーダーメイド補聴器に力を入れています。
日本の補聴器主要ブランド
日本国内で販売されている補聴器は海外ブランドのほかに、日本のメーカーが手がける国産ブランドもあります。「やはり日本製が安心」という方に、その代表的なブランド2社をご紹介します。
リオネット/リオン株式会社
リオネットは1948年に日本で初めて量産型補聴器を販売した老舗国産補聴器ブランドです。設計から製造までをすべて日本の自社工場で行っています。
リオネット補聴器の特徴は、原音を忠実に再現しながら出力までのタイムラグを短縮し、高速かつ継ぎ目のない自然な聞こえを実現している点です。また、世界で初めて防水型補聴器の商品化に成功し、その技術はのちに携帯電話など様々な音響製品に活用されています。
パナソニック/パナソニック補聴器株式会社
家電製品や映像機器で有名なパナソニックですが、1959年にポケット型補聴器を販売して以来、60年以上にわたり補聴器の開発・販売を行っています。
パナソニック補聴器の特徴の1つは、聞き取りサポート機能です。左右の耳で母音と子音を分担して聞き分けることで、両耳のよさをさらに引き立てます。また、パナソニックの補聴器は見せたくなるおしゃれなデザインにも力を入れています。
まとめ
以上をまとめると、補聴器初心者がおさえておきたい補聴器のメーカーは次の10ブランドです。
- 海外ブランド:オーティコン・フィリップス・バーナフォン・フォナック・リサウンド・シグニア・ワイデックス・スターキー
- 日本ブランド:リオネット・パナソニック
補聴器は同じように見えても、ブランドごとに特徴や性能に違いがあります。したがって、ある程度ブランドの名前がわかったら実際に店舗で製品を試聴し、着け心地や聞こえ方の違いなどをチェックしてみてください。
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記事投稿者
影向 美樹
影向美樹(ようこう みき)/医療専門ライター。元医療従事者(国家資格保有)。健康・医療に関する正しい情報をわかりやすく、丁寧にお届けいたします。