自分でも気づきにくいのが「聞こえ」の変化というもので、気づかないうちに「隠れ難聴」になっているかも…。体型の変化のように気づきやすくないので、よりいっそうの注意が必要。もしも騒がしい場所で聞こえにくさを感じたり、会議や電話を受けるときに聞き取りのミスがあるなど、聞こえが悪いなと感じることがあれば、それがサインかもしれません。チェックポイントや対応策を紹介します。
症状は緩やかに進むため自分で気がつかないことの多い「かくれ難聴」
難聴というと、年齢を重ねることで起こることだとイメージする人も多いでしょう。たしかに加齢とともに聴力は低下していきますが、難聴の原因はさまざまで、どの年代にも起こり得ます。「日本補聴器工業会」では、日本の難聴者数は2,000万人弱でこのうち自覚のない軽度の難聴予備軍は半数近くいると推計されています(※)。
なぜ難聴は隠れて見つかりにくいのでしょうか。ひとつには聴力の低下は徐々に進んでいくためで、自分自身が聞こえの悪さに気が付かないことが挙げられます。また、難聴は近視や遠視のような症状とは異なり、一律に「大きな音は聞こえて小さな音は聞こえなくなる」というものではありません。環境や音によっては小さな声でも聞くことができるし、反対に音が大きくても聞きとりにくいことがあります。静かな部屋で話している分には支障なく会話ができるから、聞こえには問題ないと考えてしまうこともあるでしょう。
聞こえづらさにつながるはっきりとした理由は、検査で判明しないことも
耳はとても繊細な器官で、もっとも一般的な難聴を引き起こす原因は、耳の奥にある内耳(蝸牛)の細胞(有毛細胞)の損傷と言われています。このほか、有毛細胞のさらに奥にある、音の信号を脳へと送る蝸牛神経(聴神経)との関連も研究されています。もしも蝸牛神経で問題が起きている場合などでは検査をしても難聴につながるはっきりした理由がなかなかわからないことがあります。
かくれ難聴のサインには「静かな場所であれば聞き取れるけれども、レストランや人が集まるところでは聞きづらさを感じる」「雑音が多いところだと会話が聞き取りにくくなる」「会話の内容を理解するために相手の顔や口元を見る」などがあります。ただし聞こえ方は十人十色。上記以外でもいつもと聞こえ方が違う、または聞こえが悪いと感じたら、すぐに耳鼻科で専門医にご相談ください。
騒音から耳を守ることが「かくれ難聴」の予防に
「かくれ難聴」は、騒音が原因で聴力が低下する「騒音性難聴」との関連が指摘されています。イヤホンから大音量で音楽を聴くなど、日常的に大きな音を聞き続けると内耳がダメージを受け結果的に難聴につながる原因となります。
視力や歯の健康に比べると、聴力を守ることはおざなりになりがち。日ごろから難聴を引き起こす可能性のあるような大音量をなるべく避け、うるさい場所ではときには耳栓などの保護具なども活用し、日ごろから耳を守ることが大切です。
※参考:「補聴器供給システムの在り方に関する研究」(平成14年度 日本補聴器工業会調査)
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記事投稿者
ヘルシーヒアリング編集局
1. ポータルサイト「ヘルシーヒアリング(healthyhearing.jp)」の運営 2.「安心聞こえのネットワーク」連携サポート
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記事監修者
高島 雅之先生
『病気の状態や経過について可能な範囲で分かりやすく説明する』ことをモットーにたかしま耳鼻咽喉科で院長を務めている。■詳しいプロフィールを見る■