私たちは音や声をどのように聞き、どうやってそれらを言葉として認識しているのでしょう? 音の方向が分かるのはどうして?聴覚とその働きを理解するために、これから連載で、耳の構造と音が脳に認識されるまでの流れを簡単にご説明します。第1回目となる今回は、耳のいちばん外側の部分、「外耳(がいじ)」についてお話しします。
耳介で音を集め、音の方向も判断している
上の図のように、私たちが「耳」と呼んでいる器官は聴覚経路の一部で、大きく「外耳(がいじ)」、「中耳(ちゅうじ)」、「内耳(ないじ)」に分けられます。
外耳は「耳介(じかい)」と「外耳道(がいじどう)」で構成されています。さらに「鼓膜(こまく)」は「外耳」と「中耳」の間に位置しています。
耳介は頭の側面にあって、私たちが普段「耳」と呼んでいる部分です。聴覚経路の目に見える部分で、ここで音を集め外耳道へと運ぶ役割をしています。
日常的な音の大部分は、空気や物質の振動として私たちの耳に届きます。聴力が正常な若い方であれば、1秒間に約20回振動する低い音(20 ヘルツ)から、1秒間に約2万回振動する高い音(20,000 ヘルツ)まで感じとることができます。
耳介は独特な形をしているので、音の微妙な違いにかかわる情報も集めることができます。音の高さや音の大きさの違いなどから、脳はその音がどこから聞こえてきたかを判断します。音が両耳に届くまでの時間も左右で異なるため、脳はこの左右差の情報を使って音源の方向や距離を判断しているのです。
なお人の耳介の集音機能については、耳介の無い人と比べてもほとんど差がないようです。ヒトの耳介は他の動物に比べ小さいため、実際にはさほど役割を果たしていないのだろうと考えられています。
音は外耳道で増幅されて、鼓膜を振動させる
外耳道は、「耳の穴」と呼ばれている部分で、耳介から鼓膜までトンネル状に続いています。直径およそ7mm、長さはおよそ25-30mm。まっすぐではなく、上に向いたり
、曲がったりしているため、外耳道の外からのぞいても、いちばん奥にある鼓膜を直接見ることはできません。
外耳道の壁面の皮膚には耳あかを作り出す腺が無数にあります。耳あかは耳を異物から保護しきれいにする働きをしています。
外耳道の入り口付近は軟骨でできていてやわらかく、奥の方はかたい骨質でできています。骨質部分はトンネル状の空洞で、側頭骨の中へと続いています。
外耳道は一方の端を鼓膜によってふさがれたトンネルのような形をしているため、外耳道の中では音が自然に響きます。そのため音は外耳道で増幅され、外耳道の終点である鼓膜に届くのです。
鼓膜は半透明の乳白色で、空気を通さない厚さ約0.1mmの薄い膜です。音は空気の振動であるので、音が届くと鼓膜が動きます。
音はこの後、聴覚経路の次の器官である「中耳」へ伝わっていくことになります。そのしくみについては、次回「中耳」「内耳」の解説でご紹介しましょう。
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記事投稿者
ヘルシーヒアリング編集局
1. ポータルサイト「ヘルシーヒアリング(healthyhearing.jp)」の運営 2.「安心聞こえのネットワーク」連携サポート
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記事監修者
高島 雅之先生
『病気の状態や経過について可能な範囲で分かりやすく説明する』ことをモットーにたかしま耳鼻咽喉科で院長を務めている。■詳しいプロフィールを見る■