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【書評】シニア世代こそが筋トレ適齢期!? 若さと健康をキープする「定年筋トレ」の始め方

  • 公開日:2018.05.08
生活 健康
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今年2月に発売された「定年筋トレ 筋肉を鍛えれば脳も血管もよみがえる」(森谷敏夫・吉田直人著 ワニブックスPLUS新書)という本をご存知でしょうか?本書によると、「シニアは筋トレの“適齢期”」であるとか。筋トレによって健康をキープできるのはもちろん、見た目も内面も若々しくなれるのだそうです。シニアにおすすめの筋トレ方法について見ていきましょう。

60歳で空手を習い始め、64歳で自らがモデルになり書籍の表紙に

「定年筋トレ 筋肉を鍛えれば脳も血管もよみがえる」の共著者、森谷敏夫氏は、応用生理学とスポーツ医学を専門とし、京都大学名誉教授、京都産業大学・中京大学客員教授などをつとめる方。そして、60歳の時にテレビで見た沖縄の千唐流という空手に興味を持ち、自ら道場を探して体を鍛え始めた経験を持っています。

2015年、64歳の時には、森谷氏は自身の著書である「京大の筋肉」の表紙に、自らの後ろ姿の筋肉の写真を掲載。その60代とは思えないシャープでたくましい姿は、当時、話題となりました。

当時のことを、氏は本書の中でこのように語っています。
《道場に行く回数が増えるにつれて、体が適応していくのが分かりました。(中略)なまくらだった自分の体が変わってきたのが、うれしかった。そんな日々を4年続けた結果、自著の表紙に写真を載せても恥ずかしくない体になったというわけです。》

森谷氏は現在でも週に3回、空手の稽古を続けており、結果2段を取得。さらに、3段と空手指導員の資格を目指し精進を続けられているとのこと。まさに「定年筋トレ」を自ら実践し、結果を証明している森谷氏。そんな森谷氏の言葉には実践者ならではの説得力があります。
《60代はまだまだ多くのことにチャレンジできる年代です。 今から転倒して骨折して寝たきりになることばかり恐れているような年ではないはずです。そもそも、健康で若々しい体を取り戻すことにも、筋肉をつけてむだな脂肪を落とすことにも、「手遅れ」などという年齢はありません。》

筋トレで脳や内臓、骨などにも好循環が生まれる

打ち合わせ風景

私たちの身体機能は、20歳をピークに加齢とともに下降すると言われています。筋力や持久力、柔軟性などは1年で約1%ずつ低下するという研究結果もあります。それをもとに計算すると、60代になった時は20歳の頃に比べて、身体機能が40%も衰えていることになります。 しかし、こうした身体機能の下降が起こるのは「何もしないでいた場合のこと」だと森谷氏は言います。
《自分の体のことを考えるうえで、まず頭に入れておいていただきたいのは「身体機能 は、その人の生活に適応している」ということです。若いうちは体力もあるし好奇心も 旺盛、なおかつ体を動かす機会も多い。(中略)しかし、キャリアを積み管理職になるとデスクワークが多くなります。通勤で歩きはするものの、体を動かすとすれば、つきあいゴルフをするくらいのものでしょう。(中略)現在の身体機能は、そうしたサラリーマンにありがちな生活に適応することで成立しているのです。》

身体機能が衰える生活を長く続けたまま年をとると、立ったり歩いたりする日常生活や、体温を維持する最小限の筋肉で作られた身体の状態になってしまうというのが氏の持論。しかし、もしそのような状態になっていたとしても、筋肉はトレーニングによって取り戻すことができると森谷氏は言います。

では、実際にどのような運動をするのがいいのでしょうか?

トレーニング

シニアに最適と言われる「ウォーキング」は、これまでほとんどの運動の習慣のなかった方が、運動に慣れるために行うエクササイズとしては良いものですが、残念ながらウォーキングだけで筋肉が増えることはあまり期待できません。
《体に負荷をかけて刺激を与え、活性化された健康体をつくろうと思ったら、ぜひ筋トレを行ってください。脳、筋肉、神経、心臓循環器系、消化器系など体の器官とそれが持つ機能は、すべて連動しています。筋トレを行なって筋肉が動けば、そこにエネルギーを送り込もうと心臓循環器系が働き、エネルギーのもとになる栄養を取り込み代謝しようと消化器系も活発に働く。脳と筋肉は相互に作用しあっているので、筋肉が動けば 脳の働きもよくなる。体全体の活性化は自律神経の働きにも効果を及ぼし、体の中に好循環が生まれるわけです。》

筋肉が動くと体に負荷がかかります。その負荷に耐えるために骨や関節も形成され強化されます。シニアに多い転倒や骨折の危険因子を少なくすることが可能となります。

また、筋肉を動かすことで脳由来神経栄養因子(BDNF)というタンパク質が生成され、脳の働きもよくなり、認知機能を健康に保つことにもつながるのだとか。また糖代謝の向上によっては、糖尿病につながるリスクを下げるなど、さまざまな良い影響が起こると言います。

ジムでトレーニングする際は聞こえへの配慮もどうぞ忘れずに

運動を始める際の事前のチェックとは?

チェック

あまり運動の経験がない方や久しぶりにスポーツを再開しようとする方がケガをせずに効果的な筋トレを始めるには、正しいフォームなど、基本的な知識を身につけておくことが欠かせません。まずはフィットネスクラブやトレーニングセンターに足を運び、プロのインストラクターやトレーナーの指導を受けるのが安心といえます。

多くのフィットネスセンター(公共のスポーツセンターなどでもこのようなサービスを受けられるところがあります)などでは、まず最初に身体の状態や筋力をチェックし、その人に合ったトレーニングメニューを作成します。メニューやトレーナーのサポートがあれば何をすべきか迷うこともありません。

運動と聞こえの関係とは?

スピーカー

ところで運動と聞こえについて考えることは少ないかもしれません。ですが、運動の方法によっては、聞こえにとってリスクとなることも・・・。

シニアの筋トレでは筋力低下を防ぐことが目的となり、特に60代を越えると弱くなるともいわれる足の筋力強化としてスクワットを取り入れることが多いかもしれません。スクワットを行う際は安全性を確保するのと同時に、どうぞ呼吸についても気を付けてみてください。力んだりいきんだりする動きは、頭蓋骨(ずがいこつ)内部の圧力に影響を与えます。力みによって圧力が上がり、結果的に耳にも圧がかかります。

自信がついてきて、ウェイトリフティングを取り入れるなどの際はさらに呼吸が大切になります。ウェイトリフティングでは気合とともに息を止めて筋肉を固め、背骨を支えることでより大きな力を出そうとしますが、息を止めると耳の奥にある内耳の圧力も増加します。このような急激な圧力変化によって気圧を均一にすることができなくなると、耳にトラブルが生じる場合があります。

大音量のBGMを取り入れたトレーニングも人気ですが、ときにこれらの大きな音楽は騒音性難聴や耳鳴りなどの原因になります。器具を使ったトレーニングでは大きな音を立ててこれらの器具類を落としたり、乱暴に器具を元の位置に戻さないように気をつけましょう。トレーニング方法と一緒に器具の正しい使い方についても何度でもトレーナーに尋ねてみましょう。

BGMの音量が大きすぎる場合は、薬局などで手軽に購入できる耳栓を利用するのもよい方法です。イヤホンでお気に入りの音楽を聞きながら運動する場合は、適切な音量を心がけることも大切です。

どんな運動をどのぐらいすればよいのか?

本書では、もう1人の共著者であるNSCAジャパンのストレングス&コンディショニングコーチである、吉田直人氏が解説する自重トレ(自分の体の重さを利用したトレーニング)が紹介されています、同氏は、ラグビー選手からミス・ユニバースといったモデルに至るまで様々な分野で身体づくりをサポートしてきた豊富な経験を有しており自宅で行えるトレーニング方法についても記しています。 どの運動からはじめ、それらを何回行えばよいかといった具体的なメニューや、基本の呼吸法などの基礎知識、高血圧の症状がある場合の注意点、また食事のアドバイスなどについても詳しく解説されています。

書評の最後に

犬と散歩

体力の衰えを感じ始めている方、またより豊かなシニアライフを実現したいと願っている方は、参考にされてみてはいかがでしょう?それでもまだ「シニアに筋トレは無理では?」と尻込みしている方のために、最後に森谷氏の言葉を紹介します。
《60代というのは、まだ年齢のことなどムダに考えずに、やりたいことをやるためにいくらでもジタバタできる年代だと思っています。まだまだ多少のスパルタトレーニング にだってじゅうぶんに耐えられる体なのです。(中略)
引き締まって身軽 に動くことができる体を獲得すれば、体力はもちろん、見た目にも自信が持てるようになることはいうまでもありません。(中略)
若々しい体を取り戻すと、スポーツに限らず、いろいろなことにチャレンジする気持ちが生まれます。そして、人生はより豊かになるはずです。》

「定年筋トレ 筋肉を鍛えれば脳も血管もよみがえる」(森谷敏夫・吉田直人著 ワニブックスPLUS新書)

いかがでしたでしょうか、書評「定年筋トレ」をお届けしました。筋力トレーニングを始めようとされる際、腰痛や持病などをお持ちの方はどうぞかかりつけの医師などへご相談ください。また力を入れるスポーツでは、聞こえの健康にもどうぞ少しだけ気を配ってみてください。聞こえについて気になる点がある際は一度お近くの耳鼻科医へご相談ください。

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    ヘルシーヒアリング編集局

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