「まずは補聴器を試してみよう」、その決心ができるまでには書籍、インターネットでの情報収集、家族や実際に補聴器を使用している人への相談、また耳鼻科医のアドバイスもあったかもしれません。「以前のように聞こえていないことから、聞こえの相談を決心した」、それは小さな一歩かもしれませんが、ご自身の聴覚の健康へ積極的に取り組んでいただくためには大きな前進と言えます。今回は、補聴器販売店へ行く際には、お一人ではなく、家族や友人を伴って行くべき理由について、前・後編の2回にわたってご説明します。
補聴器販売店への相談時には、家族や近しい人とともに足を運ぶことで、より実際的なニーズなどを伝えることができます。
補聴器は、一般に補聴器販売店にて補聴器専門スタッフによるカウンセリングを行い、聞こえのチェックや補聴器の聞こえを試すための試聴などを経て購入へとつながっていきます。
カウンセリングにおいては、ご自身の健康に関することや、予算感にも話が及ぶかもしれません。
また、補聴器専門スタッフが行う聴力測定では、お客様の安全を何よりも心がけており、痛みを感じることもなく安心して受けていただけます。
こうした一連の流れから、お一人でも十分だとお感じになられる方もいらっしゃるかもしれませんが、販売店を訪れる際には、家族や大切な人の同行をお勧めする理由を具体的にご紹介いたします。
難聴は家族全員に影響を与えます
聞こえの問題は、家族や友人との関係にどのように影響するのでしょうか。
家族とともに来店することで、ご家族の考えや悩み、気持ちを理解する機会にもなります。
周囲や家族がコミュニケーションについて、どんなことで心配したり、難しさを感じたりしているのかを知って驚くかもしれません。
ご自身の聞こえへの期待に加えて、日ごろ皆さんのそばにいる家族の気持ちや考えを共有するで、ニーズに沿った補聴器の選定や、聴覚ケアのプランを立てるうえで大きな助けになります。
多くの人が、実際は聞こえに不自由を感じていても、「聞こえは個人的な問題で、周囲の誰かに影響はないから」と相談を先延ばしにしがちです。
その一方で難聴をそのままにしておくことが、人間関係に悪影響を及ぼしかねないことが研究によって示されています。
難聴のある1,500人の方を対象にした2009年の調査結果では、参加者は家族や周囲との関係について次のように回答しています。
- 参加者の44%が、相手の話が良く聞こえないことで、配偶者や友人、家族との付き合いに難しさを感じている
- 参加者の34%が、難聴に伴うコミュニケーションの問題により、友人との断絶や結婚生活の継続の困難に直面している
- 参加者の69%が、難聴が日常会話への参加を妨げると答え、52%が社会的な交流などで取り残されていると感じている
補聴器について家族の理解と協力が必要です
「うるさい場所での聞こえづらさ」、「いつも困っている」、「1対1の会話は問題ないが複数人の会話になるとついていけない」など、難聴の悩みは様々です。
また、補聴器の装用を勧められた際でも、ライフスタイルや予算にぴったりな補聴器はどのメーカーのどのモデルなのか、初めて手にするこの小さな機械をどう使えばよいのか、さまざまな疑問がわいてきます。
疑問に思うことをためらわずに質問するためには、そばにいて相談できたり、サポートしたりしてくれる家族や友人の存在が必要です。
たくさんの質問に対する専門スタッフの答えを、家族にも一緒にメモしてもらうこともできます。
また、補聴器の役割についてご自身だけでなく家族にも理解をいただくことは重要です。
補聴器は本来持っていた聴力を回復させるものではありません。
現在持っている聴力を最大限にいかして快適な日常の聞こえを提供する役割を果たすものです。
来店からお店を後にするまで、このような質問を投げかけたくなるかもしれません。
浮かんできた疑問や不安な点については、どうかそのままにせずにスタッフに率直にお話しください。
- 店頭で気に入った補聴器を実際に自宅で試してみたい、こうしたニーズが叶う試聴サービスの内容について、期間や手数料の有無、条件はどのようなものか?
- 電源のオンオフや音量調整等、基本的な補聴器の操作方法について、補聴器は毎日どのくらいの時間、使用すべきなのか?
- 音楽鑑賞や会議など特定の場面で使える補聴器プログラム設定は可能か?
可能ならばどんな設定ができるのか?
プログラムはどのように切り替えるのか?
- 毎日どのようなお手入れが必要なのか?
補聴器は洗えるのか?
- 夜間や使わないときは補聴器をどのように保管すればよいのか?
- 電池の寿命はどれぐらいでどのように交換するのか?
- 補聴器を購入するとしたら、いつ受け取ることができるのか?
- 使い始めてからその後どのようなタイミングで再来店すべきか?
>いかがだったでしょうか?
今回の前編では、親しい方に聞こえの相談へ参加いただくことで、補聴器に対する理解が深まり、さらに専門スタッフから聞いておくべき重要な点を共有することが補聴器装用の大きな助けになることをご紹介しました。
多くのお店では、補聴器を実際に試していただく無料の試聴期間を設けています。
ヘルシーヒアリングは、お近くの補聴器専門店のご紹介や、補聴器の小さな疑問から先進の補聴器至るまで、あらゆるご相談を承っております。【ヘルシーヒアリングへのご相談はこちらから】
【後編】補聴器を試すことを決めた時、家族や友人と一緒に行くべき理由とは?はこちら
耳鳴りの症状などにお悩みの方に向けて:
耳鳴りにお悩みの方は、必ず耳鼻科医の診断を仰いでください。
耳鳴り対処の一環に補聴器が用いられることもありますが、必ず医師の指示が必要です。
■本記事について
本記事は米国Healthy Hearingにて掲載された記事を、一般的な情報提供を目的として意訳、また日本国内の事情に沿うように加筆再編成したものです。本記事のコピーライトはhealthyhearing.com及びheatlhyhearing.jpに帰属します。本記事内に掲載された名称は、それぞれ各社の商標または登録商標です。また、出典や参照元の情報に関する著作権は、healthy hearingが指定する執筆者または提供者に帰属します。
-
記事投稿者
ヘルシーヒアリング編集局
1. ポータルサイト「ヘルシーヒアリング(healthyhearing.jp)」の運営
2.「安心聞こえのネットワーク」連携サポート -
記事監修者
若山 貴久子 先生
1914年から100年以上の実績「若山医院 眼科耳鼻咽喉科」院長。■詳しいプロフィールを見る■