難聴や耳鳴り、めまいなどを伴うメニエール病。放置すると、難聴が進行する可能性があるため、早期発見・早期治療が重要です。本記事では、発症の流れや原因、検査方法・治療方法について解説します。
メニエール病とは?
メニエール病とは、難聴や耳鳴り、日常生活に支障が出るほどのめまいなどが起こる病気です。20〜50歳の方に発症する傾向があります。内耳のリンパ液が過剰になることで起こるのが特徴です。
内耳には、聞こえの細胞が存在する蝸牛と、平衡機能を司る三半規管・耳石器があります。それぞれ、もしくはどちらかにリンパ液が増え、水ぶくれになることでメニエール病が発症します。
メニエール病の症状とは?
メニエール病の主な症状は、以下の通りです。
- 回転性めまい
- 難聴
- 耳鳴り
- 吐き気・嘔吐
- 圧迫感や耳閉感
それぞれについて、解説していきます。
回転性めまい
回転性めまいとは、自分や周囲がぐるぐる回っているように感じるめまいのことです。数分〜数時間程度の間、症状が続き、治まったとしても、不定期に繰り返し起こるとされています。
難聴
メニエール病が生じたタイミング、あるいは生じる前後に、左右どちらかの耳の聞こえが低下し、音が聞き取りにくくなります。初期段階では、低音域の聞こえが低下しやすいのが特徴です。症状が進行すると、中音域や高音域の音も聞き取りにくくなる可能性があります。
耳鳴り
「キーン」という高音や「ザー」「ブーン」といった低音の耳鳴りが起こる可能性があります。断続的に耳鳴りが起こる場合や、耳鳴りが持続する場合もあります。めまいが起きるタイミングや、起きる前後に症状が強くなるのが特徴です。
吐き気・嘔吐
めまいの影響で、気分が悪くなり、吐き気や嘔吐が起こる可能性があります。
圧迫感や耳閉感
めまいが起きるタイミングや、起きる前後に、耳が詰まるような閉塞感や圧迫感を感じることがあります。
メニエール病の原因
メニエール病は、内耳の中に存在するリンパ液が過剰に分泌され、内リンパ腫という状態になることで発症します。内耳には、音の信号を電気信号に変えて脳に伝える蝸牛と、平衡機能を司る三半規管・耳石器があります。
これらの内側は、正常時は適量のリンパ液で満たされているため、問題ありません。しかし、何らかの原因でリンパ液が過剰に増えると、内リンパ腫が起きます。めまいや難聴、耳鳴りなどの症状が起きる可能性があるため、注意が必要です。
リンパ液が増える原因は未だ解明されていませんが、精神的・身体的なストレスや睡眠不足、疲労が関係しているとされています。
メニエール病を検査する方法
メニエール病かどうかを見極めるためには検査が必要です。以下のような検査方法などがあげられます。
- 眼振検査
- 平衡機能検査
- 聴力検査
- 温度刺激検査
- 重心動揺検査
メニエール病を確定診断するためには、さまざまな検査を行い、病気の特徴を見分ける必要があります。
眼振検査
カメラで目の動きを観察し、異常がないかを検査する方法です。めまいが起きている方は、眼振と呼ばれる特徴的な目の動きが出ることがあるため、目の動きを確認しておく必要があります。
平衡機能検査
その場で足踏みをすることで、体のバランスがとれているかを確認する検査です。同時に、脳機能障害の有無も確認できます。
聴力検査
聞こえが低下していないかを調べる検査です。メニエール病の場合、日によって、聴力が変わる可能性があるため、複数回にわけて検査するケースがあります。
温度刺激検査
耳にお湯や水を入れ、三半規管を刺激し、正常に機能しているかを確認する検査です。
重心動揺検査
直立姿勢の状態で、開眼や閉眼の際に現れる重心の動揺を記録・分析し、体の平衡維持に作用する機能を確認する検査です。
メニエール病の治療方法
メニエール病の治療方法は以下の通りです。
- 薬物療法
- 生活習慣を見直す
- 外科手術
薬物療法や生活習慣の見直し、改善がみられない場合は外科手術が必要です。
薬物療法
メニエール病が発症している場合は、症状の種類に応じて薬を服用しなければなりません。主な薬は以下の通りです。
- めまい止め
- 吐き気止め
- 精神安定剤
- 利尿薬
発作が悪化した場合は、点滴や注射が必要になるケースもあります。
生活習慣を見直す
メニエール病は、精神的・身体的なストレスや睡眠不足、疲労などが関係しているとされています。そのため、薬物療法などと平行し、主に以下の対策が必要です。
- 適度な運動を行う
- 十分な睡眠時間を確保する
- 栄養バランスのとれた食事をする
- ストレスを発散するために趣味を持つ
- 水分補給する
外科手術
薬物療法を行ってもめまいなどの症状が頻発し、日常生活に支障をきたす場合は、内リンパ嚢開放術を行います。内リンパ嚢開放術は、中耳の側頭骨を切開し、内リンパ嚢からリンパ液を排出させる手術です。
内リンパ嚢開放術で治療できない場合、ゲンタマイシン鼓室内注入術を行います。ゲンタマイシンと呼ばれる抗生物質の溶液を1日1回鼓室に入れることで、リンパ液の産生を阻害する手術です。
まとめ
メニエール病とは、難聴や耳鳴り、日常生活に支障が出るほどの激しいめまいなどが起こる病気です。内耳の中に存在するリンパ液が過剰に分泌され、水ぶくれになることで発症します。発症時の症状としては、めまいや難聴、耳鳴りや吐き気・嘔吐などが起こるのが特徴です。
メニエール病を検査するためには、眼振検査や平衡機能検査、聴力検査や温度刺激検査などの方法が挙げられます。治療法は、薬物療法や生活習慣の見直し、改善がみられない場合は外科手術を行うことです。
発症の原因として、精神的・身体的なストレスや睡眠不足、疲労が関係しているとされています。そのため、日頃からストレス対策や睡眠時間の確保、適度な運動などを行い、健康的な生活を送ることを心がけましょう。
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記事投稿者
医療ライターゆし
医療機器メーカー(東証プライム市場上場)の営業職に約10年間従事。日々、多くの医師やコメディカルと関わり合いながら、ライターとして多くの医療記事を執筆している。
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記事監修者
若山 貴久子 先生
1914年から100年以上の実績「若山医院 眼科耳鼻咽喉科」院長。■詳しいプロフィールを見る■