耳の感染症である「中耳炎」のなかで代表的なものが急性中耳炎であり、6カ月~2歳ごろまでの子どもによく見られる病気です。これが滲出性中耳炎に移行すれば難聴の症状がでてきます。こちらは2~3歳から10歳ごろまでと言われています。耳の不快感やときには痛み、聞こえにくさといった症状を伴いますが、子どもが上手く親に説明できないことも。どのような兆候から気づくことができるのでしょうか。
耳の詰まったような違和感を小さな子どもが説明するのは困難
耳は「外耳」「中耳」「内耳」の3つの部分から成り立っています。このうち中耳は鼓膜の奥にある空洞の部分を指します。また、耳小骨と呼ばれる小さな3つの骨がつながっており、鼓膜に伝わってきた音の振動を内耳に伝える働きをしています。この部分に風邪や感染症などによる細菌感染が発症すると、中耳炎を引き起こします。風邪が流行する冬はとくに注意したいものです。
中耳炎にはいくつか種類がありますが、子どもに多い難聴をきたすものとして「滲出性中耳炎」があります。
これは鼓膜の奥に滲出液(しんしゅつえき)が溜まってしまう状態です。結果として耳の中の圧力が変わるために鼓膜や耳小骨の動きが悪くなります。そうすると音の振動が正しく内耳に伝わらなくなり、不明瞭な聞こえの状態が続きます。たとえるなら飛行機や車に乗ったときに耳が詰まったような感じがする、そのような聞こえ方に似ています。ですが小さなお子さんの場合、周囲に説明するのは難しいでしょう。痛みや発熱を伴わないため、親や周囲の大人たちもなかなか気づかないことがあります。
もしかして中耳炎? 子どもの聞こえ方やしぐさをチェック
頻繁に急性中耳炎をくりかえしたり、中耳炎が遷延することで滲出性中耳炎に移行すると、伝音難聴を認めます。以下の兆候が見られた場合は中耳炎を疑って、どうぞ早めに耳鼻科にかかりましょう。
- 耳を引っ張る、押すなどよく触っている
- 泣いたりわめいたりして、機嫌が悪い
- よく眠れないなど睡眠に問題がある
- 発熱する
- 耳漏れ
- ふらふらするなどバランス感覚に問題がある
- 「普段よりも話す声が大きい」「聞き返しが多い」など、聞こえや音に対する反応に問題がある
暖かくして風邪の予防をすることが中耳炎の予防にもなる
鼻の調子が悪くつまっていたり、鼻をよくすすっていたりすると中耳炎のリスクとなるので、鼻症状がある際は、耳鼻科を受診しましょう。
冷えることで風邪を引き、鼻の調子を悪くすると、そこから中耳炎につながることがありますから、外出するときはニット帽子やマフラー、耳あてを使用するなどして暖かく保ちましょう。
耳の感染症は自然に治ることも少なくありません。感染症を乗り越えられるように、日ごろから栄養バランスのとれた食生活を意識すること、また休養を多くとって、健康的に過ごしていただくことは、じつは耳を守るためにも大切なのです。
-
記事投稿者
ヘルシーヒアリング編集局
1. ポータルサイト「ヘルシーヒアリング(healthyhearing.jp)」の運営 2.「安心聞こえのネットワーク」連携サポート
-
記事監修者
高島 雅之先生
『病気の状態や経過について可能な範囲で分かりやすく説明する』ことをモットーにたかしま耳鼻咽喉科で院長を務めている。■詳しいプロフィールを見る■