聞こえの総合情報サイト

モスキート音とは?モスキート音が聞こえなくなる原因は「有毛細胞」にあり

  • 公開日:2017.10.01
健康 聞こえの雑学
横顔

「若者には聞こえるけれど、大人には聞こえない音」モスキート音(蚊の羽音)が話題になったことがありました。モスキート音は「キーン」という17,000 Hz前後のとても高い音のこと。なぜ大人になると聞こえなくなるのか、カギを握るのは有毛細胞。その理由を理解するために、聞こえのメカニズムについて見ていきましょう。

モスキート音の聞こえは、耳の中の有毛細胞の状態が関係している

モスキート音の聞こえ方には個人差があり、じつは30代以上でもモスキート音を聞きとれる人はいます。これは高い音の聞こえは単に年齢に左右されるものではなく、音を感知する内耳の「蝸牛(かぎゅう)」という器官の中にある有毛細胞(ゆうもうさいぼう)が関係するためです。

蝸牛は耳の奥にあり、文字通り、かたつむりのような形をしています。その中はリンパ液で満たされていて、音の振動でリンパ液が動くと蝸牛内の有毛細胞が刺激されます。刺激された有毛細胞は、聴神経の発火を促し、最終的に音の情報は脳へと伝えられ音が聞こえたということになります。

高音によって刺激される有毛細胞はダメージを受けやすい

有毛細胞には内(ない)有毛細胞と外(がい)有毛細胞の2種類があり、これらはいわばピアノの鍵盤のように並んでいます。蝸牛の入り口近くにある有毛細胞は高音に反応し、蝸牛の奥にある有毛細胞は低音に反応します。ところが全ての音の振動は蝸牛の入口から入ってきますので、入り口に近い方にある有毛細胞には負荷がかかりやすくなります。結果的に損傷を受けたり死滅したりしやすくなるのは、概して高音によって刺激される有毛細胞になります。有毛細胞は新しく作られることはないので、有毛細胞が死滅していくと細胞数が減っていき元の数に戻ることはありません。

このように、有毛細胞が日々働き続けたことによるいわば経年劣化として、蝸牛の入り口付近の有毛細胞の数はますます少なくなって高音域の聞こえが悪くなっていきます。その結果、モスキート音を聞き取れないことが多くなっていきます。ただし、これに個人差はあります。大きな音は繊細な有毛細胞を傷つけてしまうため、大音量で音楽を聴き続けていたりすることで若い人でもモスキート音の聞こえ方に影響が出てくることがあります。

モスキート音は一度聞こえなくなったら二度と聞くことはできない

一度ダメージを受けた有毛細胞は元に戻らず、有毛細胞が新しく作られることもありません。有毛細胞の数が減っている場合はモスキート音に反応する有毛細胞が少なくなっているので、モスキート音の音量をいくら上げても聞こえません。また有毛細胞は新しく作られることがないので、一度聞こえなくなったら二度とモスキート音を聞くことはできません。健康な聞こえをできるだけ維持するためには、有毛細胞を損なわないように、耳への損傷の原因となる騒音を未然に防ぐことが大切になります。

モスキート音は聞こえなくても生活に支障はありませんが、聴力を考えるきっかけとして、スマートホンのアプリなどを使ってモスキート音が聞こえるかどうかチェックしてみるのも良いかもしれませんね。

  • 記事投稿者

    ヘルシーヒアリング編集局

    ヘルシーヒアリング編集局

    1. ポータルサイト「ヘルシーヒアリング(healthyhearing.jp)」の運営
    2.「安心聞こえのネットワーク」連携サポート

  • 記事監修者

    高島 雅之先生

    『病気の状態や経過について可能な範囲で分かりやすく説明する』ことをモットーにたかしま耳鼻咽喉科で院長を務めている。■詳しいプロフィールを見る■

無料相談・お問合せ

WEBフォームからお問合せいただけます。

いますぐお問合せ

ヘルシーヒアリング

ヘルシーヒアリング(以下当サイト)の使命は、聞こえや難聴への理解を深めていただくこと、また補聴器を軸に難聴への対処や解決策についての情報提供を通じて、聞こえに悩む人々の生活の質(QOL)を高める一助となることです。 当サイトのご相談窓口検索では、認定補聴器技能者が在籍する専門店、認定補聴器専門店、また補聴器カウンセリングに重きを置いた補聴器専門店・取扱店を中心とする安心聞こえのネットワークの補聴器販売店の情報を掲載しています。

ヘルシーヒアリング マスコットキャラクター
: ;