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APD(聴覚情報処理障害)とは?主な特徴と原因、対処の方法

  • 公開日:2021.08.24
健康
悩む男性

聞こえのお悩みを抱えていて、耳鼻科で聴力検査を受けたものの、正常と診断される場合があります。このように、聴力が正常なのに聞こえの問題があるときは、APD(聴覚情報処理障害)である可能性も。ご紹介する情報を参考に、専門の医療機関の受診を考えてみましょう。

ここでは、APDの特徴や主な原因、対処の方法について解説します。聞こえの問題でお悩みの方や、できるだけ快適に過ごす方法をお探しの方は、ぜひお読みください。

APDの症状と診断方法

「APD」では、どのような症状が見られるのでしょうか。また、医療機関ではどのような診断方法が採用されているのでしょうか。ご自分や周りの方が聞こえの問題でお悩みなら、基本を押さえて理解を深めましょう。

APDとは?

APDは「Auditory Processing Disorder」の略称で、日本語では「聴覚情報処理障害」と訳されます。聴覚検査では聴力が正常と診断されるものの、日常生活で言葉を聞き取りにくい状態が続くのが主な特徴です。音として聞こえても言葉として聞き取れなかったり、あるいは聞いた言葉を脳内でうまく処理できなかったりします。

APDの主な特徴

APDの方は、聞き間違いや聞き返しが多い傾向にあります。雑音がある状況で言葉を聞き取れなかったり、長い話を集中して聞き取れなかったりする方もいます。ほかに、横や後ろから話しかけられると聞こえないタイプも珍しくありません。

APDの診断方法

APDの診断基準は、国内ではまだ確立されていません。そのため、APDが疑われたら専門の医療機関を受診するのが望ましいでしょう。専門家が少ない傾向にあり、一般的な耳鼻科では見逃してしまうことも。聴力検査が正常で聞き取り検査で異常があるケースや、APDの主な特徴に当てはまる自覚があるケースでは、専門の医療機関への問い合わせをご検討ください。

APDの主な原因

脳

次に、APDの主な原因や、それぞれの特徴をご紹介します。一般的に、APDの原因を特定するのは難しいといわれます。思い当たる点があればチェックし、診察時に医師へ情報を共有するなど、改善へ向けた取り組みのヒントとしましょう。

脳機能の異常

脳機能に何らかの異常があり、音声を認識しにくくなるケースです。脳に損傷があったり、損傷がなくても何らかの障害があったりする可能性が考えられます。

ADHD(注意欠如・多動症)

ADHD(注意欠如・多動症)は、発達障害の一つです。集中しにくい・気が散りやすい・順序立てた取り組みができないといった「不注意」と、待つのが苦手・じっとしていられない・静かにできないといった「多動・衝動性」の症状が見られます。

ASD(自閉症スペクトラム)

ASD(自閉症スペクトラム)では、コミュニケーションの機能に欠陥が見られます。会話を成立させられない、言葉の遅れが生じるといった症状が代表的です。感情の共有を苦手とし、相手との対人関係を築きにくい傾向にあります。

認知の偏り(認知の歪み)

認知の偏り(認知の歪み)とは、物事を捉える方法に、偏りや歪みがある状態を指します。たとえば、強い思い込みがあったり、極端な考え方をしていたり、常に自己批判的であったりするケースが挙げられます。個人の認知的な偏りを特性として認めながらも、コントロールして和らげることが大切です。

ストレス

ストレスとは、外部からの刺激に対して起こる緊張で、私たちの日常生活の身近にあるものです。しかし、過度のストレスは心身に症状をもたらすことがあり、注意する必要があります。場合によっては、心理的な問題から後天的にAPDとなるケースもあります。

睡眠障害

睡眠障害では、寝つきが悪かったり、眠りを維持できなかったりする症状が見られます。日中に強い眠気が生じて、仕事や学業などに支障をきたしてしまうケースも少なくありません。大人のAPDのなかには、睡眠障害が原因で起こるものも存在します。

APDの主な対処方法

医師

APDで日常生活を送るのが困難な場合、補聴器を利用したり、トレーニングやカウンセリングを実施したりする方法もあります。最後に、APDの主な対処方法をご紹介します。

周囲の協力を得る

職場の同僚や学校の先生など、身の回りにいる方に相談して、環境調整に協力してもらうと良いでしょう。たとえば、座席を騒音が起こりにくい場所に配置してもらうと、快適に過ごしやすくなります。また、APDの方は話し手の口の形を見て音声情報を補完するため、会話の際に面と向かって話してもらう対応も有効です。

補聴器を利用する

補聴器は、聞こえをサポートする医療機器です。内蔵されたマイクが音を聞こえやすい形に加工して、聞こえを補います。雑音を低減させる機能や、特定の方向の音を大きくする機能もあるため、難聴だけでなくAPDでも利用されます。

聴覚トレーニングを行う

聴覚トレーニングでは、聞こえに関連する能力を高める訓練を受けて、聴覚を鍛えていきます。プログラムの指示に従って音を識別したり、記憶したりする課題に取り組み、聞こえの向上を目指すのが特徴です。

カウンセリングを受ける

心理的な問題からAPDとなった場合、専門家による治療や支援が求められます。カウンセラーとの面談を実施すると、ストレスの緩和や問題解決につながる可能性があります。

APDが疑われたら専門の医療機関の受診を検討しましょう

今回は、APDの特徴や主な原因、対処の方法について解説しました。APDは、聴力検査では正常と診断されるものの、聞こえの問題が生じるのが特徴です。国内では診断基準が確立されていないため、APDが疑われたら、専門の医療機関の受診をご検討ください。補聴器を利用したり、トレーニングやカウンセリングを受けたりしながら、聞こえをサポートしていきましょう。

  • 記事投稿者

    ヘルシーヒアリング編集局

    ヘルシーヒアリング編集局

    1. ポータルサイト「ヘルシーヒアリング(healthyhearing.jp)」の運営
    2.「安心聞こえのネットワーク」連携サポート

  • 記事監修者

    高島 雅之先生

    『病気の状態や経過について可能な範囲で分かりやすく説明する』ことをモットーにたかしま耳鼻咽喉科で院長を務めている。■詳しいプロフィールを見る■

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