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耳がかゆいのはどうして?中には病気が隠れていることも…様々な原因と、その対処法を紹介

  • 公開日:2022.10.05
健康 補聴器
耳に手を当てる

あなたは耳がかゆくなったことはありますか?こう問われると、少々かゆくなることは誰しもあり、耳のかゆさについてわざわざ取り上げて考えることは不思議に思われるかもしれません。しかしながら、かゆみがひどいということであれば、医師の診察や治療が必要となってきます。今回の記事では耳がかゆくなる様々な原因や対処法、また耳の正しいケア方法についてご紹介します。

 

耳の奥がかゆくてたまらないのはどうしてでしょう?それは、耳の外側である耳介の皮膚や耳内(外耳道)を覆っている粘膜が、あなたの周りの環境に反応しているのです。

なぜ耳がかゆいのですか?

耳の外側の部分(耳介)がかゆくなる場合と、外耳道の中がかゆくなる場合があります。どちらにしても厄介な問題です。耳のかゆみは、軽い皮膚や粘膜の炎症が原因である可能性が高いのですが、一度耳鼻咽喉科の専門医に見てもらうのが適当です。

耳がかゆくなる主な原因と対処法を以下に示します。

耳のかゆみはどうして

1.耳の脂漏性皮膚炎や外耳道湿疹

耳のかゆみの原因として非常に多いのが、皮脂の分泌が活発な場所におこる湿疹で脂漏性皮膚炎と呼ばれる病気です。頭皮や眉毛、耳の周囲などに発生することがあります。脂漏性皮膚炎が軽度の場合、皮膚が剥がれ落ちてフケになります。また、耳の中に起こる場合、外耳道湿疹とよばれます。

皮膚炎がひどくなると、皮膚が赤くなり、強いかゆみを伴うこともあります。ウェイン州立大学皮膚科の准教授兼プログラムディレクターであるスティーブ博士によると、脂漏性皮膚炎のリスクは年齢とともに増加するといいます。

2.感染症

外耳道には定在菌と呼ばれる細菌や真菌(カビ)が常に存在し、その数のバランスが保たれているために炎症は起こらないのですが、何らかの理由でそのバランスが崩れると、ある菌だけが増殖していまい、感染を起こしてしまいます。耳のかゆみ、痛み、熱、赤みなどの症状がある場合は、特に感染症の疑いがあります。かゆみと痛みを伴う一般的な感染症は外耳炎で、「スイマーズ・イヤー」として知られています。(しかし、外耳炎は水泳をしなくてもかかることがあります。湿度の高い場所に住んでいると、その危険性があります)。

3.補聴器、イヤホンによる刺激

補聴器イヤホンはかゆみを生じさせ、皮膚炎などの症状を悪化させる可能性があります。例えば補聴器では、ドームやイヤモールドが皮膚と擦れることがあります。また、外耳道を塞いでしまうため、湿気がこもることもあります。まれに、補聴器やイヤホンの部品にアレルギーを起こす人もいます。

イヤホン(耳の穴のすぐ内側に装着するタイプのヘッドホン)を頻繁に装着する方は、使い過ぎると腫れやかゆみなどの耳の炎症につながる可能性があることを念頭に置いてください。ひどい場合は、清潔に手入れされていないイヤホンが外耳炎を誘発することもあります。

補聴器で耳がかゆくなる場合は、お求めの補聴器販売店に相談してください。補聴器が正しく装着されているかどうか、装着感を調べてもらうことができます。

また、補聴器は定期的に清掃するようにしましょう。補聴器の掃除の仕方がわからない場合は、お求めの補聴器販売店にお尋ねください。

4.耳あかによる閉塞

耳あかは普段、健康上問題ないものですが、耳あかが詰まって炎症を起こすと、かゆみを感じるようになることがあります。耳あかの詰まりなど、耳のトラブルの大きな原因のひとつは、耳のあなを掃除し過ぎることです。耳は自浄作用があり、外耳道を保護する役割を果たしています。耳あかは、この保護機能の中で非常に重要な役割を担っています。耳かきや綿棒を耳の中に入れると、耳あかが取り除ける一方、同時に耳あかを耳の中に押し込んでしまう可能性があります。

時間が経つと詰まりが発生し、慢性的に耳がかゆくなることがあります。

5.接触皮膚炎

過酸化水素、消毒用アルコール、水、点耳薬(処方薬と市販薬の両方)、過度の耳掃除など、一般的な刺激物との接触はすべて、耳の乾燥やかゆみの原因となります。皮膚や髪につける化粧品も、皮膚を刺激します。また、アクセサリーに含まれる特定の金属、特にニッケルも、皮膚を刺激することがあります。

6.食物・季節性アレルギー

食物アレルギー、皮膚アレルギー、春・秋の季節性アレルギーのいずれもが耳に影響を及ぼし、多くの人が経験するかゆみにつながっている可能性があります。耳はアレルギーとも関係しているのです。

7.皮膚障害 (湿疹、乾癬を含む)

湿疹、乾癬(かんせん)を含む皮膚疾患は、耳の穴の中では粘膜や、鼓膜の近くの奥深くにまで影響を及ぼすことがあります。湿疹は、粘膜の一部が赤くなり、かゆみを伴い、炎症を起こす疾患群の名称です。乾癬は、慢性的な自己免疫疾患であり、皮膚に赤く、かゆみを伴う発疹ができることが特徴です。これらの疾患はいずれも一生続く可能性がありますが、治療が可能です。また、脂漏性角膜炎(皮膚にできる非癌性の黒色の増殖物)が耳の中にできることもあります。

まれな原因

糖尿病

糖尿病などの特定の全身疾患は、耳の感染症やかゆみを生じさせやすくします。これは、糖尿病によって耳あかの酸性が弱くなり、耳の中の皮膚が真菌や細菌に感染しやすくなるためです。水などで耳を洗うと悪化することがあるので、専門医に診てもらうことが非常に重要です。(難聴は糖尿病の方にも多くみられます)。

肝疾患

原発性胆汁性胆管炎や胆道炎など、胆汁をブロックする肝臓の病気の中には、耳を含めて皮膚が非常にかゆくなるものがあります。

耳のかゆみの対処法

排膿、悪臭、痛み、顕著な炎症がある場合は、すぐに医師の診察を受けてください。これらは、感染症やその他の深刻な問題の兆候であり、正しい診断と治療が重要です。

その一方で、症状が重い場合も軽い場合も、耳に何かを入れるのはおすすめしません。かゆみを抑えるために、耳の穴に何かを入れたくなりますが、それは絶対にやってはいけないことです。鼓膜を傷つけ、耳内のデリケートな粘膜を傷つける危険があるだけでなく、かゆみの衝動を増大させることになります。

"全く掻かないようにしましょう "とスティーブ博士は言いました。"どんな皮膚でも、掻くことでかゆみを感じる神経が成長します。だから、掻けば掻くほどかゆみが増すのです。"

水などの適当な液体を耳に入れるのも同じです。それは問題を悪化させる可能性があります。

代わりに、根本的な問題に対処してみてください。フケがある場合は、フケ防止用のシャンプーに変えてみましょう。季節性アレルギーでかゆみが生じる場合は、抗ヒスタミン剤を服用してみてください。耳掃除のしすぎや耳あかの詰まりによる乾燥には、耳のスキンケアをしてみてください。

症状が軽いのに治らない場合は、耳鼻咽喉科医の診察を受けましょう。医師は耳鏡と呼ばれる道具を使って耳の中をよく見て、何が起こっているのかを確認します。また、必要があれば耳あかを取り除きます。

かかりつけ医がいる場合には、症状について相談し適切な診断のもと、効果的な治療計画を立てることができます。複雑な症例の場合は、皮膚科医や耳鼻咽喉科医に紹介されることもあります。

耳のかゆみを防ぐには?

耳を掃除しすぎると、解決するよりも多くの問題が発生することが多い

綿棒

耳を強く掻いたり、掃除しすぎたり、爪、綿棒、ねじった布、イヤーキャンドルなどで皮膚をかき壊したりトラブルを起こすことで、誤って感染してしまうことがよくあるようですので、優しく扱うようにしましょう。 本来、耳は自浄作用があり、何もする必要はありません。

補聴器などを扱う前には手を洗い、シャンプーや石鹸が耳に入らないようにしましょう。

耳掃除の正しい方法

ほとんどの場合、通常の衛生管理以外、何もする必要はありません。耳掃除は耳の穴から1cmまでにとどめ、せいぜい月に1回程度にしましょう。

耳の粘膜はなぜこんなに敏感なのでしょう?

耳内の環境は独特で、いくつかの"弱点"があります

「外耳道は温かく湿っているため、細菌による感染のリスクが高くなります」とスティーブ博士は述べています。「外耳道の皮膚には、耳あかを分泌する特殊な油腺(耳垢腺といいます)があり、感染の防御に役立っています。また、鼻と同じように、外耳道には小さな毛が生えていて、耳の中にほこりなどが入るのを防いでいます」

耳は汗をかかない

また、内耳の皮膚には、体温やストレスで汗をかくときに使うエクリン汗腺がないことも特徴的です。このため、耳垢がワックス状になっており、耳の中に湿気がこもりにくいのです。

耳がかゆくても補聴器の装着は続ける

耳のかゆみは厄介なものですが、補聴器の装用をやめるべきではありません。このような症状は簡単に解決できることから、人に何を言われても、会話に参加できることを優先しましょう。市販の点耳薬で皮膚を保護したり、補聴器用ドームのサイズを変更したりするだけでよい場合もあります。

補聴器に問題がある場合、または満足な聞こえが得られない場合は、補聴器販売店へのご相談をお勧めします。

 

■本記事について

本記事は米国Healthy Hearingにて掲載された記事を、一般的な情報提供を目的として意訳、また日本国内の事情に沿うように加筆再編成したものです。本記事のコピーライトはhealthyhearing.com及びheatlhyhearing.jpに帰属します。本記事内に掲載された名称は、それぞれ各社の商標または登録商標です。また、出典や参照元の情報に関する著作権は、healthy hearingが指定する執筆者または提供者に帰属します。

■英語版記事はこちらから

米国「HealthyHearing」2022年2月28日の記事「Why do my ears itch and what can I do about it?」(Debbie Clason, Joy Victory 寄稿)

https://www.healthyhearing.com/report/53014-Why-do-my-ears-itch-and-what-can-i-do-about-it

  • 記事投稿者

    ヘルシーヒアリング編集局

    ヘルシーヒアリング編集局

    1. ポータルサイト「ヘルシーヒアリング(healthyhearing.jp)」の運営 2.「安心聞こえのネットワーク」連携サポート

  • 記事監修者

    高島 雅之先生

    『病気の状態や経過について可能な範囲で分かりやすく説明する』ことをモットーにたかしま耳鼻咽喉科で院長を務めている。■詳しいプロフィールを見る■

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