難聴や耳鳴り、耳閉感などの症状がみられる耳の病気は複数あります。耳の病気の兆候のひとつとして現れる難聴の症状は、小さな音が聞こえにくいといった軽度なものから、ほとんど聞こえないといった重度のものまで幅広く、症状が軽度だと難聴だと気づきにくいこともあります。耳の主な病気と対策方法について知ることで、耳の不調に早めに気づき、適切な治療につなげられるようにしましょう。
耳の病気による症状
耳の病気の症状としてよくみられるのは難聴と耳鳴りです。難聴の程度は幅広く、ほとんど聞こえない状態や、高音または低音が聞こえにくい状態、小さな声が聞き取りにくい状態などさまざまです。
耳の詰まった感じ(耳閉感)、めまい、耳だれ、耳の痛み、吐き気・嘔吐などの症状がみられることもあります。
耳の主な病気とその原因
耳の主な病気である突発性難聴、中耳炎、内耳炎、外耳炎、耳垢栓塞の5つについて、それぞれの概要と原因を説明します。
突発性難聴
「朝起きたら片方の耳が聞こえない」など 突然の片耳の聞こえにくさで発症する耳の病気です。難聴の程度は個人によって異なり、耳鳴り、耳閉感、めまいの症状が強くみられるケースもあります。ウイルス感染や内耳の循環障害が原因と考えられていますが、まだ原因ははっきりとはわかっていません。
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中耳炎
鼓膜と耳小骨から成る中耳に炎症が起こる病気です。原因などによって分類され、ウイルスや細菌感染によって起こる「急性中耳炎」、耳垂れを伴う急性中耳炎などを繰り返した結果、鼓膜に穴が開いたままの状態になってしまう「慢性中耳炎」、急性中耳炎や副鼻腔炎によって中耳に液体が溜まって起こる「滲出性中耳炎」、鼓膜の一部が凹み、真珠腫という塊ができる「真珠腫性中耳炎」に分けられます。
耳の痛み、耳閉感、難聴、発熱、耳だれなどの症状がみられ、自分で症状を伝えられない小さな子どもの場合は泣く、不機嫌になる、耳を触るなどで気づかれることもあります。
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内耳炎
中耳より奥にある音を感知する蝸牛、平衡感覚を司る前庭・半規管で構成される内耳が炎症を起こした状態です。中耳炎が重症化して内耳にまで炎症が広がる場合やウイルス感染、髄膜炎などが原因となります。
症状は難聴、耳鳴り、耳の痛み、めまい、吐き気などが現れます。
外耳炎
耳の入り口から鼓膜までの外耳に起こる炎症です。耳掃除やイヤホンの擦れなどでできた外耳道の傷から感染して炎症を起こし、耳の痛みや難聴などの症状が出ます。外耳道にカビが繁殖して外耳道真菌症になった場合には治るまでに時間がかかります。
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耳垢栓塞
耳垢が耳の穴をふさいでいる状態です。通常は耳の中の耳垢は、自浄作用によって自然に耳の入り口近くまで移動しますが、湿っている耳垢だと溜まることがあります。耳閉感や軽度の難聴などの症状がみられます。
参照リンク:耳あかについて私たちが知っておくべきこと
参照リンク:耳掃除はやっちゃダメ!アメリカの医学会からの警告
症状が現れた時には
いつもと違う耳の状態に早めに気がつき、耳鼻科を受診して適切な診断・治療を受けることが大切です。次のような耳の不調のサインがあれば、耳鼻科を受診しましょう。
- いつもと聞こえ方が違う
- トンネルに入ったときのように耳の詰まり感がある
- 音がこもって聞こえる
- 耳鳴りが続いている
- 耳に水が入っているようだ
- 聞こえにくいと感じる
耳の病気から守るには
耳の病気から守るために、耳へかかる負担をできる限り避け、耳の健康を維持する生活習慣を心がけましょう。
① 耳へ負担がかかることをできる限り避ける
- ヘッドホンやイヤホンで音楽などを聴くときには音量を上げすぎないようにして、1時間ごとに5分程度休憩する
- 大きな音がするライブ会場などに行くときには耳栓などをして耳を守る
- ストレスや疲労は溜め込みすぎない
- 耳掃除は耳の入り口をふき取る程度で、耳の中まで掻き取らないようにする。耳の奥の耳垢除去は耳鼻科を受診する
② 耳の健康を保つ生活習慣を心がける
自律神経のバランスの乱れやストレスが耳の病気と関連していることもあります。十分な睡眠、適度な運動、バランスの良い食事を心がけ、規則正しい生活を送りましょう。
耳の不調を感じたら早めに受診を
耳の病気の症状を適切な治療を受けずに放っておくと、症状が進行して聞こえが低下することもあります。耳への負担を極力おさえて、規則正しい生活を心がけましょう。耳の不調を感じたら早めの受診が肝心です。
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記事投稿者
丹野 愛
フリーライター。医療・介護系のサイトコンテンツやコラムなどを執筆。作業療法士。福祉住環境コーディネーター2級。認知症ライフパートナー2級。
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記事監修者
高島 雅之先生
『病気の状態や経過について可能な範囲で分かりやすく説明する』ことをモットーにたかしま耳鼻咽喉科で院長を務めている。■詳しいプロフィールを見る■